(9月15日付け号外) ■十四日午前、サロマ湖湖口近くで遊漁船「はやぶさ」(長さ八・六九メートル)が横波を受けて転覆、沈没し、乗っていた十人全員(いずれも自衛隊員)が海に投げ出された。五人が救助されたが、このうち中村政美さん(49)と梶野利彰さん(37)の二人が死亡、五人が行方不明。紋別海上保安部(木田祐二部長)の巡視船「そらち」などが夜通しで現場海域で捜索を続けている。 同保安部などの情報によると、十人はいずれも旭川の陸上自衛隊北海道補給所近文台燃料支処の自衛官と技官。同船は亡くなった中村さんが旭川の知人から借りていた。 同船はこの日早朝にサロマ湖内の登栄床漁港を出港、オホーツク海でカレイ釣りをして、同漁港に戻る途中に転覆した模様。事故当時、海面は海上はうねりが高かった。 捜索活動は夜間も続けられ、「そらち」のほか網走海上保安署の巡視船「ゆうばり」、羅臼海上保安署の巡視艇「かわぎり」が海上から、また千歳航空基地所属と函館航空基地所属の航空機二機も空から行方不明者の捜索にあたっている。 また現場近くの三里浜キャンプ場周辺には、旭川などから自衛隊員らが集まり、巡視船のサーチライトで時おり明るく照らされる海面を見つめ、仲間の安否を気遣っていた。 ■テトラポットからの返し波が真横から… 同保安部は同日午後九時に記者会見を行い、事故時の模様などについて発表した。 救出されたある男性の証言によると「沖合いで釣りをしていたが、波が高くなったためサロマ湖内に戻る途中、湖口付近で後ろから大きな波に襲われ、船尾が大きく持ちあがり、船首部が海面に突っ込むかたちとなったことから、乗船者が前のめりにつんのめる状況となった。再び大きな波が後方から寄せ、その波が通り過ぎた後、テトラポットに当たり返し波となって真横から押し寄せた」という。事故現場や詳細については、救出者の証言にばらつきがあるが、同保安部では「場所は湖口からそれほど遠くないと見られる」と話している。 事故にあった十人の氏名は次の通り(いずれも陸上自衛隊北海道補給所近文台燃料支処)=敬称略=。 【死亡】中村政美(49、曹長)、梶野利彰(37、二曹) 【行方不明】瀧山一路(29、二曹)、伊林貴光(28、三曹)、畑直人(25、三曹)、川崎徹(20、士長)、吉田貴行(19、一士) 【救助】太田昌弘(37、技官)、今野岳史(39、技官)、鈴木潤(25、技官) 写真)事故や現場の様子について記者発表する木田部長 |
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